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 US盤カセット(キャピトル編)


「キャピトル・ボックス」のCD発売で再評価の高まっているアメリカ編集盤ですが、
ちょっと変わったところでカセット・テープを特集してみました。

ここで紹介させていただくカセットはすべて90年代以降に発売されたものなので、残念ながら60年代のオリジナルはありません。
アナログ盤がC1という規格番号で再発売された時に合わせて、カセットもC4という規格番号で再発売されましたが、そのC4規格カセットを中心に紹介しています。


                                                                                                                                  
2006.3.25

カセットの面白さはジャケット写真のトリミングやアルバム・タイトルの表示、デザインなどがアナログ盤とは異なるところにあると思います。
こちらも、でっかいタイトルと4人の顔ギリギリにトリミングされた写真がアンバランスな気がしますが・・・。




「セカンド・アルバム」というタイトルについて

米国で最初に発売されたアルバムはVJ盤「イントロデューシング・ザ・ビートルズ」、続いてキャピトルから発売の「ミート・ザ・ビートルズ」、そして、その次に発売されたのがこの「セカンド・アルバム」なので当然このアルバムが2枚目というのはちょっと変だというのはすでに多くの方がご存知かと思います。

「セカンド・アルバム」という一見ありふれたように思われるタイトルですが、64年頃までの他のアーティストでこのような,いわゆる2枚目であることを表したタイトルを付けたアルバムが存在するのか調べてみたのですが意外と存在していないようです(私が調べた範囲ではゼロでした)。
ローリング・ストーズには「No.2」というタイトルがありますが、こちらはビートルズの「セカンド・アルバム」の半年後の発売です。

あえてVJ盤を無視したかのような「セカンド・アルバム」という、有りそうで実は誰も使っていなかったタイトルを付けたところにキャピトルの野望が顔をのぞかせているように感じます。(キャピトル商魂・その1)





こちらはC4規格になる前の4XWという規格番号のタイプ。

このアルバムはキャピトルがビートルズとの契約を渋っていたために、すでに映画配給元のUAからサントラが発売されることがすでに決定していました。
わずか2ヶ月の差でキャピトルは大きな獲物を取り逃してしまいましたが、キャピトルは無謀というかヤケクソ気味にこのUA盤に奪われてしまった7曲中の6曲をすべてシングルにして発売するということでがっちり儲けています。(キャピトル商魂・その2)

◎キャント・バイ・ミー・ラヴ/ユー・キャント・ドゥ・ザット(これはUA盤発売以前に通常のシングルとして発売されたもの)

◎ア・ハード・デイズ・ナイト/恋する二人
◎僕が泣く/すてきなダンス
◎アンド・アイ・ラヴ・ハー/恋におちたら

キャピトルが発売したシングルは上記の4枚。このうち「ア・ハード・デイズ・ナイト」のB面を「今日の誓い」から「恋する二人」に変更することで全7曲をしっかりとカバーしてしまったが、あえてB面曲を差し替えたところにもキャピトルの悔しさが現われているように思う。

本来なら「僕が泣く」に代えて「テル・ミーホワイ」を収録していれば完璧だったのかもしれないが、これは当初、映画で使われる予定だった「僕が泣く」が結局使われなかったためで仕方のないことだろう。
「テル・ミーホワイ」だけがシングル化されなかったので、次のアルバム「サムシング・ニュー」に収録となった。

キャピトル独自のシングル・カットを別にすると、UKオリジナル・シングルのカップリング曲の変更をして発売したのは意外に思われるかもしれないが「抱きしめたい/アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」と「ア・ハード・デイズ・ナイト/恋する二人」の2枚だけである。




こちらはC4規格となり、さらにアップル・ロゴが付けられています。ただしカセット本体は4XWのタイプが入っていたので在庫調整で使われたのでしょう。




UA盤の発売から1ヶ月以内にキャピトルはこのアルバムと「セカンド・アルバム」の項で紹介したシングル3枚を発売している。

熱心なファンはUA盤「ア・ハード・デイズ・ナイト」とキャピトル盤「サムシング・ニュー」の両方を買っているはずだから、5曲もダブッて買わされるはめになってしまった。

先にシングルとして発売された「恋する二人」はこのアルバムには収録されずに,「恋する二人」のLP化は5年後となる。

UA盤が発売される前にすでにシングルとして発売済だった「キャント・バイ・ミーラヴ」はすでに十分利益を確保していたので、このアルバムに収録してもセールス・ポイントとしては低いと判断されたのではないかと思います。





(番外編)
デイヴ・デクスター・ジュニアとその助手君の会話、第1回。

助手君  先輩、UAにサントラの販売権を取られてしまった関係で、
      ビートルズの曲が変に余ってきました。
      しかも12月には「フォー・セール」っていうニュー・アルバムが
      出るそうですがどうしましょうか。
ジュニア その「フォー・セール」っていうのからシングルで発売される曲はどれじゃ?
助手君  それがイギリスではどの曲もシングルにならないみたいです。
ジュニア なぬ〜っ!!イギリスではそんなバカげた商売をやっておるのか。
      それじゃあ、一番売れそうな曲をシングル用に残しておいて
      アルバムの売り上げが落ち着いた頃にシングルで出そう。
助手君  「エイト・デイズ・ア・ウィーク」っていう曲がいい感じですがどうです?
ジュニア よしっ! LPは12月発売だから2月にシングルで出すことにしよう。

(※ この会話の内容と登場人物はすべて架空のものです)


アルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」(VJ盤「イントロデューシング・ザ・ビートルズ」)の販売権がキャピトルに移ったために発売されたもの。
しかし、「ミズリー」と「ゼアズ・ア・プレイス」の2曲は収録もれとなったために米国のファンはこの2曲を長い間聴くことができなかったのですが、のちに米国編集盤の「レアリティーズ」でやっと聴くことができました。


「キャピトル・ボックス」では4人がナイフを持ってケーキを切っている(下の方のケーキも写った)写真がブッケレットに掲載されるのでしょうか。



一番上のTHEの文字だけ小さいのはなぜ?


(番外編)
デイヴ・デクスター・ジュニアとその助手君の会話、第2回。

助手君  8月に発売のニュー・LPは「ヘルプ!」ですけど、
       我が社ではすでに「ヘルプ!」から3曲前借りして「ビートルズY」に収録しているので
       残り11曲でピッタリ1枚のアルバムができますね。
ジュニア うーん、そうだなあ。そうするか。
       でも「ア・ハード・デイズ・ナイト」UA盤では映画で使われたBGMを収録して
       うまく1枚のアルバムに仕立て上げていたよなあ。
助手君  ええ、そうでしたね。
ジュニア うちもその手でいこう! 映画のBGMを収録して1枚のLPにしてしまおう。
助手君  それは名案ですね。これでビートルズの曲は7曲しか使わずにLP1枚完成しますよ。
       しかも、まだ4曲残るのでこれは全部次の編集アルバムで使えます。
       しかし次に回す収録曲にもいいのがありますねえ。
ジュニア どれどれ、そうだなあ、バック・オウエンスの「アクト・ナチュラリー」はアメリカでは絶対に受けるぞ。
助手君  それに「イエスタデイ」もなかなかすばらしいのではないですか。                  
ジュニア よし、この2曲はシングルにしよう。
助手君  そうだそうだ、これでシングルでも一儲けできますね。さっすが〜♪先輩!

(※ この会話の内容と登場人物はすべて架空のものです)





ご丁寧に4人の部分だけ切り抜いて作ってあります。こんなに手間暇かけて作り直さなくてもいいような気もしますが。
そんな暇があるんだったら”RUBBER SOUL”の丸っこいロゴを切り抜いて残して使ったほうがよかったのに。



(番外編)
デイヴ・デクスター・ジュニアとその助手君の会話、第3回。

助手君  先輩、前回のシングル・カットした「アクト・ナチュラリー/イエスタデイ」は売れましたねえ。
ジュニア うーん、そうだなあ。今回のニュー・LP「ラバー・ソウル」からもシングルで
      売れそうなやつを残しておいて後から発売しよう。
助手君  そうですねえ、「ひとりぼっちのあいつ」ってシングル向きのいい感じじゃないですか?
ジュニア よし、それにしよう。「ラバー・ソウル」は12月発売だから
     売り上げが落ち着いた2月頃にシングルで出そう。
助手君  今回もがっぽり売れそうですね、先輩、うっひっひっひ。

(※ この会話の内容と登場人物はすべて架空のものです)



カセットというフォーマットが米国で発売されるようになったのは、いつ頃からか知りませんが、ブッチャー・カバーのカセットが存在するなんていう話は聞いたことがないので66年にはまだカセットは出ていなかったのでしょうね。たぶんカセットは70年ころからだと思います。


(番外編)
デイヴ・デクスター・ジュニアとその助手君の会話、第4回。

助手君  先輩、大変です。我が社では今まで、ほぼ3ヶ月サイクルでビートルズのニュー・アルバムを
      発売してきましたけど、12月に発売した「ラバー・ソウル」の次のアルバムは
      8月頃にしか完成しないみたいですよ。
ジュニア シングルでしか発売していない曲をかき集めれればなんとかなるだろう。
助手君  うーん、それでもまだ少し足りないみたいです。
ジュニア よし、イギリスに電報を打って、何でもいいから完成している曲を送るように手配しておく。
助手君  さすが、先輩!

     66年なってから米国で発売されたレコードは一気に少なくなって
          2月21日「ひとりぼっちのあいつ/消えた恋」
          5月30日「ペイパーバック・ライター/レイン」

       そして6月20日になってやっと「イエスタデイ・アンド・トゥデイ」が発売された。

 (※ この会話の内容と登場人物はすべて架空のものです)




C1規格のアナログ盤も発売されていましたが、これが発売された時点では米国内でもUKオリジナルの14曲入り「リボルバー」が発売されていました。
ほかのキャピトル編集盤とは違って、単に収録曲が3曲少ないだけのキャピトル盤「リボルバー」をあえて発売する必要性はなかったと思いますが、キャピトルもそのあたりは負い目を感じていたのか、たぶん発売枚数は他のタイトルよりも少なかったみたいで、すぐに市場から姿を消してしまいました。




((番外編)
デイヴ・デクスター・ジュニアとその助手君の会話、第5回。

助手君 先輩、次のLPは「リボルバー」っていうタイトルらしいですけど、「イエスタデイ・アンド・トゥデイ」で
      すでに3曲使っているので残りはちょうど11曲になります!
ジュニア そうだなあ。「イエスタデイ・アンド・トゥデイ」でさえ無理やり曲をかき集めて作ったLPだし
      すでに、あまっている曲も全然無いしなあ・・・。
助手君 選曲する手間も省けるのでそのまま残りの11曲で出しちゃったらどうですか?
ジュニア う〜ん、ジャケット・デザインもアメリカ向けに作るのが面倒だし、そのまま11曲で出しておこう。




C4規格で再発されたキャピトル編集盤のカタログ番号ですが、なぜか発売順になっていません。

90441 ミート・ザ・ビートルズ
90443 サムシング・ニュー
90444 セカンド・アルバム
90445 ビートルズ・Y
90446 ビートルズ・65
90447 イエスタデイ・アンド・トゥデイ
90451 アーリー・ビートルズ
90452 リボルバー
90453 ラバー・ソウル
90454 ヘルプ



このアルバムに続いてビートルズ初のベスト盤「オールディーズ」が各国で発売されたが米国ではなぜか未発売に終わっています。

この件について書かれた記事を私は見たことが無いし、また誰も疑問提起したような書き込みなども見たことがないのですが、私はこの「オールディーズ」未発売がキャピトル最大のミステリーだと思っています。

1.あれほどビートルズに飢えていた商魂たくましいキャピトルがなぜ発売しなかったのか?

2.16曲という収録曲数が多すぎるなら11曲にカットするか、あるいは思い切ってアメリカ独自の選曲で発売してもよかったのでは?

3.イラストのジャケットが米国向きでないというのであれば、これも思い切って変更してはどうか?

4.次作の「サージェント・ペパー」からは編集盤の発売は出来なくなっていたが、66年末の時点ですでに編集盤に対するビートルズ側からの要請があったのか?
しかし67年以降に編集盤を発売している国もあるので、この説は考えられないように思うが。

5.今までは米国という広大な市場を持つキャピトルのために他国よりもいち早く曲の提供をしていたビートルズが、ビートルズ(アーティスト)よりも上の立場にいたキャピトル(レコード会社)に「オールディーズ」の編集に「ノー」と言えるような、立場逆転の構図となりつつあったのであろうか?

6.ベスト盤を出してしまうと他のアルバムの売り上げに影響が出てしまうと考えたのか?

いろいろと理由を私なりに考えていた長年の疑問でしたが、2004年になってキャピトルが65年に2枚組のベスト盤発売を計画していたということを知りました。

ベスト盤発売の意思があったにもかかわらず「オールディーズ」を発売しなかったのは・・・・(う〜ん、永遠の謎だなあ)




なぜかA面とB面がそっくり入れ替わって収録されている。でも、キャピトル発売のカセットではこの後、まだまだ不可解なことが続きます(詳しくは次のページで)。
アップル・ロゴはカセット本体のみに入っている。

UA盤の影響でキャピトルのアルバムには今まで未収録だった「キャント・バイ・ミー・ラヴ」と「恋する二人」の2曲が、やっとアルバムに収録されました。
アルバム「ヘイ・ジュード」の選曲の中でこの2曲だけがやけに浮いている理由が分かったでしょ?


70年の時点で最終的にキャピトルのアルバムに収録されなかった曲は「ミズリー」「ゼアズ・ア・プレイス」「シー・ラヴス・ユー(ドイツ語)」「フロム・ミー・トゥー・ユー」「ジ・インナー・ライト」5曲となっている。




収録曲の表示でスペースをいっぱい使ってしまったためにバーコードは背中に付けられた。

ジャケット右側の部分を切り取って送るとLPに付属していた12ページのブックレットがもらえたようです。
でも、このジャケットはアップル・ロゴが入っているので90年代後半の発売だと思うのですが、たぶんアナログも廃盤になっていたかどうか際どい時期だと思うのですが本当にブックレットの在庫があったのでしょうか。




高音質での収録ということで「XDR」の表示がされている。

(当時のカセット・テープの広告文より。)

XDRとは
東芝EMIと英国EMI、米国キャピトル社が共同開発した新カセット・プリント・システム。
原音をより忠実に再現するため、高音域は鮮やかに、そして低音域はよりダイナミックになった。
XDRを証明するため、カセットの最初と最後にXDRサウンドロゴ(信号音)が入っている。
CDの音に迫るクオリティの高いカセット・テープである。
続きのカセット・ボックス編はこちらから

US・カセット・ボックス

US盤カセット・ボックス(パート1)

 












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